13月のゆうれい
以前に紹介した世界は寒いと同じ作者の作品。
女っぽい可愛らしい服装が大嫌いな姉と、女装して生活している弟の話。
こう書くと姉弟仲に問題があると思うかもしれないけれど、そんなことはなく姉弟仲は本当に良い。
特に姉の方は、小さい頃には弟にイタズラをした変質者を叩きのめし、大人になってからは女装が職場の人間に見られた弟のためにポリシーを曲げて、双子なのを利用して大嫌いな可愛らしい服装でその同僚の前に姿を見せたりと、お姉ちゃんしている感じ。
ちなみに、姉が可愛らしい服装が嫌いだったり、弟が女装をしていたりするけど、性的マイノリティの話ではないです。
どちらかというと、他者からの自分に対する評価の話かな。
勉強や仕事ができるとかの能力的な評価ではなくて、女らしいという性別から来る固定観念的な評価に対する嫌悪感というか。
女なのに女らしい格好をしている無いと、「もっと可愛格好したら?」と上から目線でダメ出しされることに対する不快感に対する反発が姉の服装に対するポリシーの源泉だと思う。
弟の方はもっと複雑で、子供の頃から女の子のような可愛らしい容姿していたため、変質者にイタズラをされて可愛いという言葉に強い嫌悪感を持っていたんだけど、ちょっとしたきっかけでそれを振り切ってと上手く説明できない感じ。
いずれにしてもこの作品は自己評価というか自分自身を上手く肯定できない二人が、どう自分自身を受け入れて肯定していくかというような内容だと思う。
つまり放浪息子から恋愛要素を大幅に削った感じという、分かる人にしか分からない例えで今回は終わる。